






【2020AW】STYLE NO.10
着用アイテム
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yohji yamamoto
ラインマフラー(BLACK)
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yohji yamamoto
【ラスト1点/yohji yamamoto】M-胸切り替えスタンドB(WHITE)
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JAN-JAN VAN ESSCHE
SHOW STITCH DERBY BOOTS(BLACK)
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yohji yamamoto
【yohji yamamoto】Y-ショートJKT三重裁(BLACK)
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yohji yamamoto
【ラスト1点/B yohji yamamoto】B/マチ付アシメサルエル(BLACK)
黒の衝撃の記憶を呼び覚ます 孤高のクリエイション
"Yohji Yamamoto THREE LAYERED STYLE"
LEMAIREのセットアップスタイルとは対極。デザイナーの山本耀司氏が危惧する、現代モードの境界線を改めて線引きするアヴァンギャルドなアイテムをメインにコーディネート。
20AWの中でも特にデザイン性の高いモデルは、無理にこねくり回すよりもストレートに表現した方がいいと思い、シンプルな構成に。早速みていきましょう!
-JACKET & PANTS -
20AWコレクションテーマは「パルチザン」。Yohji Yamamotoは他ブランドにはない個性を超えた"性格"があります。ぱっと見でも「あ、ヨウジだ」とわかる。Apple社の製品を見てアップルだと認識することと同じです。それくらいプロダクトに力があるんです。
今回のメインアイテムであるジャケットは、ウール/レーヨン/コットン、3枚の生地が重なったものを1枚の生地として捉え、仕立てられています。
堅牢な見た目ですが、ジャケットの仕様自体はデイウェアとして使いやすいよう肩芯を入れていません。インナー+シャツor薄手のニットなどでちょうど良いフィッティングなので、中に無理やり着込むというより、防寒対策はこの上から羽織るアウターに任せたいですね。(すでに3レイヤーされている生地なので、シンプルな着こなしをお勧めします)
着丈は80cmもありませんので、パンツのデザインにもしっかりと目が向けられます。
合わせたのはB/Yohjiラインのアシンメトリーパンツ。ヨウジ定番のサルエル・バルーンパンツに加えテーパードシルエットを組み合わせた三位一体のパターンがユニークですよね!
デザイン性が前面に出過ぎていてフィッティングが…とならないのがヨウジの素晴らしいところ。足を前に進めるたび、生地分量が異なることでシャフトが予想外の動きをしてくれるのです。
使用されているのはHommeライン同様のシワギャバなので、いつのシーズンでもセットアップが組めるのが大きなメリットです。
冬が過ぎ、春が訪れた時にもデザイン性の高いパンツは効果を発揮。シンプルなカットソーで合わせても左右非対称のフォルムがコーディネートを立体的に魅せます。 ロング丈の羽織りものと合わせれば、よりコレクションのような着こなしに。
夏以外の3シーズンで使えるセットアップ、せっかく揃えるなら誰とも被らない自分だけの1着を選びたいですね*
- SHIRTS / STOLE -
本コーディネートでポイントになっているアイテム2点。シャツ×ストールは、綺麗めな印象と季節感を同時に演出できるコーディネートとしてお薦め。ストールをリリースするブランドが年々少なくなっていますが、私は毎年必ず使っています。(単純に防寒対策としてもかなり重宝するので!)
着丈の長いロングシャツ、マストアイテムと言っても過言ではありません。ジャケットからロング、地面すれすれの着丈もリリースするヨウジにおいてはトップスのバランス感を調整できる丈のシャツはとても重要。(なので、当店では毎年のようにブロードシャツを継続してセレクトしています。)
かといって他ブランドと合わせにくいなんてことはありません!コットンブロードなのでほぼ全ての生地感とマッチします。コートは基本的にウールベースのものが多いですし、パンツもウールものを合わせるとなると、インナーの素材感はクセのないものを選んだ方がまとまりやすくなります。(ギャバジンならそこまで毛羽感が強くないので安心ですが、毛足の長いウールものは中々難しいです。)
ストールは本数を揃えず、上質でスタンダードなものを長く愛用するのがよろしいかと。1本目としては間違いのないBLACK、しかもさりげなく入るラインが程よく縦の意識を強めてくれるので、スタイリング全体のアクセントとして機能。シャツの色を広いまとまりを出しているのにも注目。
通勤通学時にも使いやすく、女性が使用していても◎なサイズ感。肩掛けしてショール使いにもいいですね* 車の後部座席に置いておけばブランケット代わりにも。ストールはこれからの季節、あってよかったなぁと感じる場面が所々あります。贅沢なアイテムなのは間違いありませんが、何年も大切にしたくなる作品です*
- SHOES -
今季のコーディネートでも使われる場面が多いJAN-JAN VAN ESSCHEのブーツ。使えば使うほどこれはやっぱいいなと納得させられます。
素材や製法はもちろんなんですが(詳細はぜひアイテムページをご覧ください)、他シューズよりも圧倒的にパンツとのバランスが取りやすいんですよね。
レザーシューズの王道でもあるスムースレザーやガラスレザーよりも艶感を抑えているので、パンツの素材感(コットン、リネン、ウールなどなど)に左右されない安定感があります。HED MAYNERのパンツとも合わせられ、デニムで合わせていても馴染む汎用性は、いいブーツの条件を完璧に満たしてくれています。
年齢を重ねれば嗜好の変化は当然ですし気分も変わることもあると思いますが、盤石の1足があるかないかは大きな差があります。そこからの変化(例えばレザーの質感、シャフトの高さなど)をつけていけば良いのではないでしょうか?
このシューズを選ぶのは、家具を選ぶ感覚に近いものがあります。長い期間使うことはもちろん、納得のいくデザイン、身体を安心して任せられる包容力、全てが揃ってこそ選ぶ価値がある。
レザーですから当然お手入れなどは必要ですが、掃除をしない家具はありませんし、ケアされていない家具に愛着など湧くわけがありませんよね?
「それ、何年選手?」と聞かれるのが嬉しくなってしまう、レザーシューズ好きにはたまらない作品です*
先日民放のニュース番組に出演していたコムデギャルソンの川久保玲氏。この逆行でこそ、デザインの力を信じていると静かに語る姿がありました。
山本耀司氏がニュース番組に出ることはないでしょうが、その代わりに、彼は21SSレディースコレクションを、フィジカルショーをパリにて発表しました。それこそが山本耀司の生き様であり存在意義である、と語りかけています。
ファッション史に残る革命をもたらした2人が私たちに伝えるべきことは、全てが彼らの作品に込められています。
彼らの衣服は言葉そのもので、彼らの言葉は衣服そのものなのです。
STYLE No.10では、コーディネートをはじめ山本耀司氏の物づくりに対する真髄を感じられるよう、ストレートに表現してみました*
(photo/styling:山中 caption:野原)